【1月11日 AFP】クロスボウを構え、頭から爪先まで全身を覆い隠すイスラム教徒の黒装束から目だけ出している女──これが現在フランス国内に拡散している、最重要指名手配者アヤット・ブーメディエンヌ(Hayat Boumeddiene)容疑者(26)の画像だ。

 ブーメディンヌ容疑者は、パリ(Paris)東部ポルトドバンセンヌ(Porte de Vincennes)のユダヤ系食料品店に人質を取って立てこもり、警察の突入で死亡したアメディ・クリバリ(Amedy Coulibaly)容疑者(32)の内縁の妻。現在警察はブーメディンヌ容疑者が事件当時トルコに滞在していた公算が大きいとの見解を示しているものの、捜査当局は一連の襲撃事件の関連を解明する上でカギを握るとして同容疑者に重大な関心を示している。トルコの治安当局の関係者は、ブーメディンヌ容疑者が今月2日に入国したものの、その後シリアに渡航した可能性を指摘した。

 パリではイスラム過激派による襲撃や立てこもり事件が今月7日から3日間続き、皮切りとなった風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社の銃撃事件ではサイド・クアシ(Said Kouachi)容疑者(34)と弟のシェリフ・クアシ(Cherif Kouachi)容疑者(32)が12人を殺害した。

 食品店立てこもり事件のクリバリ容疑者は長年犯罪に関与し、刑務所を何度も出入りするうちにイスラム過激派になったとみられる。同容疑者は事件の最中に電話でテレビ局BFMTVに対し、自身がイスラム教スンニ派(Sunni)過激組織「イスラム国(Islamic StateIS)」のメンバーであり、犯行にあたってクアシ兄弟と「協調した」と主張した。

 シェリフ・クアシ容疑者もBFMTVの取材に対し、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系のイエメンの武装勢力「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」から派遣されたと語った。アルジェリア系のシェリフ容疑者はマリ系のクリバリ容疑者とともに収監されている期間中に、クリバリ容疑者をイスラム過激思想に転向させたとみられる。