【1月11日 AFP】米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)は10日、同社のロケット「ファルコン9(Falcon 9)」を打ち上げた後に海上プラットホームに着陸させようとしたが、ロケットがプラットホームに激突して破損し、ロケットを再利用する試みが失敗に終わったと発表した。

 電子決済会社PayPal創業者の1人で、電気自動車の米テスラ・モーターズ(Tesla Motors)の経営者でもあるスペースXのイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)はマイクロブログのツイッター(Twitter)で、「ロケットはドローン・スペースポート船(訳注:プラットホームのこと)にたどり着いたが、着陸が激しかった。今回は惜しかった。だが将来的にはうまくいく兆候もあった」と書き込んだ。

 10日の実験は、ファルコン9ロケットの第1段部分を、エンジンを3度噴射させて、米フロリダ(Florida)州ジャクソンビル(Jacksonville)の約200マイル(約322キロ)沖にある全長約90メートル、幅約50メートルの「自律スペースポートドローン船(Autonomous Spaceport Drone ShipASDS)」と呼ばれるプラットホームに着陸させるというもの。マスク氏はツイッターで、実験が暗闇の中で行われたため、映りのよい映像はないと述べるとともに、プラットホーム自体に損傷はないが、一部の支援設備を交換する必要があると述べた。

 スペースXでは過去2度、ファルコン9の速度を空中で停止する状態になるまで減速させたのち、海に着水させる実験を成功させていた。

 今回の打ち上げの主な目的は、ロケットの問題から最近2度延期されていた無人物資補給船「ドラゴン(Dragon)」の軌道投入で、こちらは成功に終わった。

 真っ白な機体のファルコン9は、国際宇宙ステーション(International Space StationISS)に滞在している6人の宇宙飛行士向けの資材や食料などを積んだ補給船ドラゴンを載せてフロリダ州ケープカナベラル(Cape Canaveral)から夜明け前に打ち上げられた。

 米航空宇宙局(NASA)によると、2.2トン余りの物資を搭載した補給船ドラゴンはグリニッジ標準時(GMT)12日午前11時12分(日本時間12日午後8時12分)にISSに到着する予定だという。

 スペースXは12回にわたって物資補給船をISSに送る16億ドル(約1900億円)の契約をNASAと交わしており、今回が5回目のミッションだった。

 ISSに物資補給船を送る19億ドル(約2300億円)の契約をNASAと結んでいる米宇宙企業オービタル・サイエンシズ(Orbital Sciences)は、昨年10月ロケットの不具合で打ち上げに失敗して物資補給ミッションを当面中止していることから、今回のスペースXの打ち上げ成功の意義は大きい。(c)AFP/Kerry SHERIDAN