■自由と保守の間で揺れるイスラム国・レバノン

 レバノンは、他のアラブ諸国の多くと異なり、歓楽街や女性ポップスターが存在し、アルコールを飲むことが法的に認めらていることなどで知られている。だが一方で、社会の一部は極めて保守的なままだ。

 昨年、スキー・アルペン女子のレバノン代表、ジャッキー・シャムーン(Jackie Chamoun)さんがトップレスで写真撮影をしている動画が流出した際には、大勢のレバノン人が衝撃を受けたが、その一方でシャムーンさんへの支持を表明する声もインターネットを通じて多数上がった。

 今回は、ハリファさんが左腕にレバノン国歌の一節を入れ墨していることが、インターネットに投稿された複数の写真から明らかになった。

「レバノンは常にアラブ諸国の中のパイオニアだった」とあるコメンテーターは語った。

 ハリファさんの写真はレバノンの全国テレビのニュースでも紹介された。「ミア・ハリファさんは、こうした職業に就いていることを公言した初めてのレバノン人だ」と、地元テレビ局のアルジャディード(Al-Jadeed)は伝えた。

「ハリファ」はアラビア語でカリフ(イスラム教の預言者ムハンマドの後継者)を意味するため、イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の最高指導者アブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)師とかけてジョークにするコメンテーターもいた。

 レバノンのあるツイッターユーザーは「カリフに好ましいのは誰?ミアかそれともバグダディか」と問いかけた。(c)AFP