【1月6日 AFP】世界初の彗星(すいせい)着陸に成功したものの電池切れで休眠状態にある欧州宇宙機関(ESA)の実験機「フィラエ(Philae)」が、3月にも十分な日照を得て復活しそうだという。

 フランス国立宇宙センター(CNES)のジャンイブ・ルガル(Jean-Yves Le Gall)所長は5日、パリ(Paris)で記者会見し、彗星周回探査機「ロゼッタ(Rosetta)」の実験用着陸機について、「フィラエの冒険物語は終わらない」と述べた。

 重量100キロのフィラエは昨年11月12日、10年の旅路の末、母船ロゼッタから切り離されて67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)に着陸した。ところが、凍った彗星表面で2回バウンドし、太陽の光の届かない崖の陰で横倒しになってしまった。

 フィラエに搭載されたバッテリーの持続時間は60時間で、それ以上の活動維持には太陽電池パネルによる発電が必要となる。電池切れとなったフィラエは11月15日、休眠状態に入った。

 だが、ルガル氏は、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が徐々に太陽に近づいているため、状況が変わる可能性があると指摘。「3月になれば、太陽光が当たってバッテリーの充電が可能になり、実験を再開できるのではないかと期待している」と述べた。

 科学者らは、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が太陽に最も近づく「近日点」の今年8月13日に、彗星の様子を観測することを目指している。「今まで想像したこともない状況を観測できると確信している」とルガル氏は語った。(c)AFP