【1月2日 AFP】ベストセラー「21世紀の資本(Capital in the 21st Century)」の著者で、フランスの著名な経済学者トマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏(43)は1日、フランスの最高勲章、レジオン・ドヌール(Legion d'Honneur)勲章の受勲候補に選ばれたが、現社会党政権に反発しノミネートを辞退した。ピケティ氏本人がAFPに明らかにした。

 ピケティ氏は「たった今、レジオン・ドヌールにノミネートされたと聞いた。しかし私はこれを辞退する。誰にオヌール(栄誉)を与えるべきかを決めるのは、政府の役割ではないと思うからだ」と語り、「政府はフランスと欧州の(経済)成長の回復に専念したほうがいい」と指摘した。

 かつては現与党の社会党に近い立場だったピケティ氏だが、フランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領の政策とは距離を置いている。

 同日発表されたレジオン・ドヌール勲章の候補には、昨年ノーベル経済学賞(Nobel Prize in Economics)を受賞したジャン・ティロール(Jean Tirole)氏や、同じくノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)を受賞したパトリック・モディアノ(Patrick Modiano)氏も含まれている。

 ピケティ氏が経済格差の拡大に関する理論をまとめた「21世紀の資本」は、世界中で約150万部の売り上げを記録し、同氏は一躍時の人となった。特に米国で注目を集め、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の顧問らとも会談している。一方、ピケティ氏が厳しいオランド政権批判を展開している自国フランスでは、米国ほどの売れ行きには至っていない。ピケティ氏は、オランド大統領が課税の累進性強化など、大統領選時に掲げた財政改革の公約に違反していると非難している。(c)AFP/Aurelia End and Julie Chabanas