【12月31日 AFP】ロシアのプーチン政権を批判してきた反体制運動の指導者で、詐欺などの罪に問われていたアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)被告(38)が30日、有罪判決を言い渡され、これに抗議するデモに参加するために自宅軟禁命令に背いたとして同日、露当局に拘束された。

 ロシア野党勢力のカリスマ的指導者であるナワリヌイ被告は判決を受け、首都モスクワ(Moscow)でウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)政権に対する抗議行動を呼び掛けた。これに応じて同市中心部のマネージ広場(Manezhnaya Square)で行われた無許可デモに大勢の人々が結集、うち130人以上が拘束された。

 インターネット上でロシア政府の汚職問題を追及し、人気ブロガーとなったナワリヌイ被告はこの数年間、プーチン大統領や政権与党への批判を繰り返してきた。2011~12年にかけては大規模な反プーチンデモを呼び掛け、13年にはモスクワ市長選に出馬。草の根運動を展開し、プーチン派の現職に次ぐ2位につけた。

 こうした中、ナワリヌイ被告と弟のオレグ(Oleg Navalny)被告(31)が、フランスの化粧品会社イブロシェ(Yves Rocher)から2700万ルーブル(約6000万円)近くをだまし取ったとする詐欺などで起訴された。イブロシェ側は何の被害も受けていないと発表していたが、モスクワの裁判所は30日、兄弟に横領での有罪と懲役3年6月を言い渡した。

 その際、ナワリヌイ被告には執行猶予が認められたのに対し、政治活動に関与していないオレグ被告には実刑が科された。この判決にナワリヌイ被告は激怒した。支持者らは判決について、ナワリヌイ被告を沈黙させ、2018年に行われる大統領選へ出馬する意欲をくじこうとする動きだと捉えている。

 ナワリヌイ被告は今年に入り自宅軟禁下に置かれていたが、30日の判決を受けて、モスクワの広場での抗議行動に参加するため自宅を脱出、地下鉄でセルフィーを撮影した。しかし、その後警察に取り押さえられ、バンの中に押し込まれた。

 刑務当局はナワリヌイ被告が自宅軟禁命令に背いたことを裁判所に通知し、これによってナワリヌイ被告の執行猶予が取り消され、実刑に変わる可能性がある。(c)AFP/Anais LLOBET and Maria ANTONOVA