■強烈な化学臭、激しい水しぶきの音

 2012年2月に48歳でこの世を去った伝説の歌姫ヒューストンさんの最期の瞬間を追体験したい人は、ヒューストンさんが遺体で見つかったビバリーヒルズの高級ホテルにあるバスタブにワープさせられる。検視当局は、ヒューストンさんが浴室で誤って水死したと断定しており、その原因としてコカインと心疾患を挙げている。

 見学者は初めに、水しぶきの音とヒューストンさんの声を聞きながら、世界中のホテルで使用されている洗浄剤のかすかなにおいに続き、ヒューストンさんが入浴に使っていたオリーブオイルの香りを嗅ぐ。箱にはその後、コカインに似た強烈な化学臭が充満し、中に横たわる人の喉をしめつける。すると次に激しい水しぶきの音が流れ、やがて静寂が訪れる。

 ドゥエリンク氏は、「コミュニケーションにおいて、においが使用されることはめったにない。われわれは、においの使用法を探求したかった」「これは、非常に強力なコミュニケーション手段だ」と述べている。

 この装置は、向こう数か月の間に欧州各地で公開される予定。(c)AFP/Nicolas DELAUNAY