【12月26日 AFP】中国・湖北(Hubei)省の武漢(Wuhan)市が、12項目からなる「社会主義の核心的価値観」の暗唱を全住民800万人に義務付けようとしていると、国営英字紙・環球時報(Global Times)が26日、報じた。

「社会主義の核心的価値観」は中国共産党が社会主義イデオロギー普及の一環として提唱している。市民全員の習得を徹底させるため、武漢市では「暗唱クラス」への出席を義務付け、「中央政府高官」による抜き打ち検査も行われているという。

 地元の大学院生は環球時報に、勉強会を開いて核心的価値観を記憶しているか 確認しあったと語った。全員が完璧に覚えるまで、誰も帰れなかったという。また別の学生は、「もし暗唱できなかったら、来年の奨学金がもらえなくなるかもしれない」と語った。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は昨年の就任以来、共産党への支持固めを狙って「社会主義価値観」の普及を積極的に押し進めている。

「社会主義の核心的価値観」が提唱する12の言葉は「富強」「愛国」「和諧」など。また「民主」や「法治」も含まれているが、西側諸国とは定義が異なる。皮肉なことに、暗唱を強制された言葉には「自由」も含まれている。

 環球時報によれば、武漢市が「社会主義の核心的価値観」暗唱運動を進める背景には、「国家文明都市」の称号を得たいとの市当局者らの思惑がある。(c)AFP