【12月29日 AFP】イングランド・プレミアリーグは、マンチェスター・シティ(Manchester City)とチェルシー(Chelsea)という近年資金源を獲得したクラブが2015年を席巻しつつあるように見える一方、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)とリバプール(Liverpool FC)の名門2クラブは、過渡期にあることを感じさせた。

 ユナイテッドがリーグ優勝を果たして迎えた13-14シーズン、リバプールは戴冠まであと一歩と迫りながら、最後はシティの前に涙をのんだ。そして新シーズンでは、チェルシーが首位に立ったまま新年を迎えようとしている。

 時計の針が実際に2014年1月1日の午前0時を指す前の段階で、ユナイテッドの支配力には陰りが見えており、稀代の名将、アレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)氏の後任という、難しい仕事を任されたデビッド・モイーズ(David Moyes)監督の下で、チームは急坂を転げ落ちるように崩壊していった。

 そして、4月にはついにおのが振り下ろされ、モイーズ監督は、6年契約の10か月目で首を切られた。その後、ライアン・ギグス(Ryan Giggs)が暫定的に選手兼監督を務めたユナイテッドは、1990年以降では最低となる7位でリーグ戦を終えた。

 するとユナイテッドは、W杯ブラジル大会(2014 World Cup)でオランダを3位に導いたルイス・ファン・ハール(Louis van Gaal)監督を招聘(しょうへい)。さらに、英国史上最高額の約5900万ポンド(約103億円)でアンヘル・ファビアン・ディ・マリア(Angel Fabian Di Maria)を獲得するなど、合計1億5000万ポンド(約260億円)の大型補強を敢行し、歯に衣着せぬ物言いの新監督の下で、クラブは正しい方向へ進み始めている。

 リバプールは、それとは逆の道をたどりつつある。4月27日のチェルシー戦で、曇り空の下、本拠地アンフィールド(Anfield)に選手が姿を見せた時、最後にあのような悲劇的な結末が待っているとは誰も想像しなかっただろう。

 ブレンダン・ロジャーズ(Brendan Rodgers)監督率いるリバプールは、劇的な勝利を含む11連勝を飾り、特定のひいきチームを持たない英国人の心をつかむと、この時点で2位に勝ち点5差をつけて首位に立ち、残り3試合で勝ち点7を獲得すれば、1990年以来となるリーグ優勝をつかめるところまで来ていた。

 ところがリバプールは、主将のスティーブン・ジェラード(Steven Gerrard)の足を滑らせるミスがデンバ・バ(Demba Ba)のゴールにつながり、この試合に0-2で敗れると、8日後のクリスタルパレス(Crystal Palace)戦も3点のリードをふいにし引き分け。最後は優勝をシティにさらわれた。

 イングランド代表が失態を演じたW杯を含めて、ジェラードは「人生で最悪の3か月だった」と振り返った。

 一方のシティは、ピッチにそびえ立つ山のようなヤヤ・トゥーレ(Yaya Toure)にけん引され、合計102得点を挙げてリーグ優勝を達成すると、キャピタル・ワン・カップ(Capital One Cup 2013-14)でもサンダーランド(Sunderland AFC)を下し、マヌエル・ペジェグリーニ(Manuel Pellegrini)監督の就任初年度に2冠を達成した。

 シティ主将のヴィンセント・コンパニー(Vincent Kompany)は、ここ3年で2度目となる優勝のトロフィーを掲げた後、「ビッグクラブになりたいというなら、ここはもうそうしたクラブの1つだ」と話した。