■「マダガスカル人同士の殺し合い」を仕向ける政治家

 アンタナナリボにある中国大使館の報道官は事件を受けて、労働者らの要求は「非理性的」なものへ逸脱したとのコメントを発表した。スコマ社の広報担当者は今回の事態について、中国への反発という側面にはあまり触れずに、「ある勢力」が「犯罪者をあおっている」と批判した。

 マダガスカルのメディアや当局者も、何らかの勢力が今回の事件に荷担したとみている。日刊紙ミディ・マダガシカラ(Midi Madagascar)は、かつてクーデターによって実権を握ったアンドリー・ラジョエリナ(Andry Rajoelina)元暫定政府大統領が暴動の扇動者だと指摘した。

 中国の経営陣に対して抗議活動を繰り広げてきたジェロームさんも「そうだよ、暴動をそそのかした政治家たちがいるんだよ」とため息を交えて話す。だがその名前を明かすことは恐ろしくてできないという。

 匿名の複数の地元当局者はAFPの取材に対し、今回の暴動はモロンダバ出身であるロジェ・クール(Roger Kolo)首相に打撃を与えるために起こされたと思うと話した。

 一方、スコマ社の別の元従業員も「あいつらはマダガスカル人に金を払って他のマダガスカル人を殺させるような連中なんだ」と語って同じような説明をしたものの、打撃を与えようとした対象はヘリー・ラジャオナリマンピアニナ(Hery Rajaonarimampianina)大統領だったと述べた。(c)AFP/Gaëlle BORGIA