【12月23日 AFP】チュニジアの選挙管理委員会は22日、大統領選の決選投票でベジ・カイドセブシ(Beji Caid Essebsi)元首相(88)が当選したと発表した。チュニジアで1956年のフランスからの独立後に本格的な自由投票で大統領が選ばれたのは初めて。今回の大統領選は、「アラブの春」の発端となった同国の民主化の総仕上げと位置付けられていた。

 選管によると、21日に行われたこの決選投票で、カイドセブシ元首相が得票率55.68%で人権活動家のモンセフ・マルズーキ(Moncef Marzouki)暫定大統領(69)を破ったという。決選投票の投票率は60.1%だった。

 カイドセブシ氏は決選投票直後に勝利を宣言。当初、マルズーキ氏は敗北を認めていなかったが、22日になってマルズーキ氏の報道官がフェイスブック(Facebook)上で、マルズーキ氏がカイドセブシ氏の勝利をたたえたと伝えた。

 2011年、長期にわたり独裁政権を敷いていたジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を退陣に追い込み、「アラブの春」の大規模な民衆蜂起のきっかけを作ったチュニジアにおいて、今回の選挙は歴史的な重要性を持つものと捉えられてきた。

 選挙戦では両陣営が激しく対立。マルズーキ氏はカイドセブシ氏が勝てば有力なエリートが国を支配する旧体制に逆戻りしてしまうと訴え、一方カイドセブシ氏側は、マルズーキ氏は革命後のチュニジアを率いマルズーキ氏を大統領に擁立した穏健派イスラム系政党「アンナハダ(Ennahda)」を事実上代表していると批判していた。

 カイドセブシ氏は21日、勝利宣言直後にマルズーキ氏に対し、「チュニジアの未来のために力を合わせよう」と呼び掛けたが、マルズーキ氏の支持者が多い南部のエルハンマ(El Hamma)では選挙結果に反発した300~400人の若者がタイヤを燃やしたり、警察署に投石したりし、警察が催涙ガスで制圧する騒ぎに発展し、前途多難を思わせる事態となった。(c)AFP/Mounir Souissi