■有望なワクチン試験

 ワクチンの中では「cAd3-ZEBOV」と呼ばれる試験薬が、米国で健康なボランティアを対象に行われた安全性試験の第1段階で良好な臨床結果を示したことが最近、報じられた。開発した英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKlineGSK)はAFPの取材に、「約2万回分の試験薬を追加製造している。現在進行中の第1相の臨床試験が成功したら、すぐに次の段階に進める」と述べ、第2相試験を「15年初め」にも開始できるのではないかとの見込みを明らかにした。

 治療の先頭に立っているのは未承認薬「ジーマップ(ZMapp)」で、患者対応中に感染した複数の医療関係者に既に投与された実績がある。しかし、治験で有効性が確認されたわけではなく、在庫も尽きている。

 さまざまな抗ウイルス剤の試験も進められており、エボラ出血熱から回復した元患者の血清や血しょうを使った治療の試験も間もなく始まる。

 科学者たちは、いずれにせよ1年以内にエボラ出血熱を抑制できるとみているが、エボラウイルスはフルーツバットと呼ばれるコウモリなど媒介動物の中で生き延び、接触した人間に感染する可能性は今後もあると警告する。

 治療薬の誕生への希望が高まる一方、専門家からは医療インフラの改善や、患者の隔離・感染経路の特定・病気に関する啓蒙(けいもう)といった感染対策が最善の答えだという声も上がっている。世界健康安全保障センター(Centre on Global Health Security)のデービッド・ヘイマン(David Heymann)所長(ウイルス学)は、「過去に起きた流行はワクチンのないままに終わっていた」と指摘している。(c)AFP/Mariette Le Roux