フェラーリなど希少な名車60台見つかる、フランス
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【1月1日 AFP】フランス西部の小さな村で、約50年間放置され忘れ去られていた希少な車約60台が見つかった。
吹きさらしの小屋で古い車の雑誌の山に埋もれていたのは、フェラーリ(Ferrari)の「250GT SWBカリフォルニア・スパイダー(250 GT SWB California Spiders)」。37台しか製造されていない車種で、最高1200万ユーロ(約17億円5000万円)の値が付く可能性があるという。
この車はフランスの俳優ジェラール・ブラン(Gerard Blain)が新車で購入し、後にアラン・ドロン(Alain Delon)に売却されたもの。ドロンは米女優ジェーン・フォンダ(Jane Fonda)やシャーリー・マクレーン(Shirley MacLaine)とこの車に乗っているところを写真に撮られていた。
11月に発表されたこの発見について競売会社「アールキュリアル(Artcurial)」のマチュー・ラムーア(Matthieu Lamoure)氏は、車業界では古代エジプトのツタンカーメン王(Tutankhamun)の墓の発見と同等の価値があると語った。
専門家のピエール・ノビコフ(Pierre Novikoff)氏は、ツタの葉が絡まっていたり、鉄板がルーフ部分に乗っていたりといった状態で発見された数十台の車について、「廃棄物処理場と博物館の中間といったところ」と表現した。
さびたり風雨で傷んだりしているものの、発見された車にはブガッティ(Bugatti)、イスパノ・スイザ(Hispano-Suiza)、タルボ・ラーゴ(Talbot-Lago)など、伝説的なものが揃っており、アールキュリアルは「芸術作品」と評価する。
■眠れる森の名車
ではなぜ、伝説的な車がフランスの片田舎にたどり着き、50年もの間、放置されていたのか?
クラシックカーは今では人気が高く、価値も極めて高い。しかし、発明家で自動車愛好家のロジェ・バイヨン(Roger Baillon)氏が最初のコレクターの1人となる数十年前はそうでもなかった。フランス西部で運送会社を経営していたバイヨン氏は、第2次世界大戦(World War II)後に富を築いていった事業家だ。
バイヨン氏は1953年、自動車博物館を作るために今回複数のクラシックカーが発見された用地を買い取った。同氏のコレクションの大半は1955~65年に築かれたもので、ラムーア氏によると、バイヨン氏は小型の列車を購入し、博物館内のツアーも計画していたという。しかし70年代に入ると事業が傾き、同年代末までにコレクションの大部分を売却した。
今回見つかった眠れる森の名車たちは来年2月6日に競売に掛けられる。予想される最高落札価格は計1600万ユーロ(23億4000万円)。(c)AFP/Fran BLANDY and Jean-Francois GUYOT