【12月17日 AFP】パキスタン北西部ペシャワル(Peshawar)で16日に起きたイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」による学校襲撃事件を受け、同国は17日から3日間の国喪に入った。事件では生徒132人と職員9人が死亡。同国史上最多の死者を出した「テロ攻撃」に、国外からも非難の声が上がっている。

 事件では、軍が運営する公立学校を武装集団が襲撃し、8時間にわたり教室を順に回って子どもたちを殺害した。パキスタン軍のアシム・バジワ(Asim Bajwa)大将によると、この他に125人が負傷。死者数は、2007年に同国のカラチ(Karachi)で起きたベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相暗殺事件の139人を上回った。

 事件当時、学校には約500人の生徒がおり、襲撃犯らは弾薬と、数日分の食料を持っていたという。バジワ大将は記者団に「襲撃犯らは講堂に入るなり無差別に発砲し始めたことから、人質を取る意図はなかった」と語った。

■学校は「狙いやすい標的」

 事件は、TTPが結成された2007年以降に爆弾や銃による攻撃で数千人が死亡しているパキスタンの基準に照らしても衝撃的だった。

 犯行声明を出したTTPの報道官は、襲撃の理由を、北ワジリスタン(North Waziristan)地区で軍が行った武装勢力の掃討作戦に対する報復だとしている。

 軍はこの作戦により、TTPの武装闘争を大きく阻害できたとの見解を示している。AFPが軍の発表からまとめたデータによると、6月の作戦開始以降、武装勢力側の1600人以上が殺害された。

 パキスタン軍の退役中将で軍事評論家のタラト・マスード(Talat Masood)氏はAFPに、「TTPは、自分たちに軍の心臓部を攻撃する能力がないことを知っている。だから、狙いやすい標的を攻撃するのだ」と語った。(c)AFP/Saad Khan