■3Dデザインが大人気

 アクリル100%の低価格のセーターが多く出回っている一方で、200ポンド(約3万7000円)以上するカシミアやアルパカ素材の品を買い求める人もいる。

 国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」はこの流行に乗り、2012年から毎年12月12日を「クリスマスセーターの日」として、着用者から少額の寄付を募っている。同NGOのファイナンシャルディレクター、タニヤ・スティール(Tanya Steele)氏は「昨年はありがたいことに、100万人以上の参加者から150万ポンド(約2億8000万円)の募金が集まりました。今年はさらにこの倍を目指しています。すでに100万人以上が参加してくれています」と話した。「クリスマスセーターはもう何十年も英国人の精神に根付いているもので、クリスマスの一部ですから」としているが、再ブームの理由については複数の要因が重なったものと分析している。

 北欧ファッションやヴィンテージの人気と重なったことや、セレブたちが12月中多数開かれるクリスマスパーティーで自分の買ったアイテムを着てみせる機会が多いこともそうした理由の一つだ。また、あえて時代遅れのデザインを着ることが、英国人らしい自虐的なユーモアセンスにも響いているようだ。

 上述のトムレンソンさんは、「英国人は、一風変わっている、ダサくて個性的なルックを好みます」と語る。

 1枚購入したという弁護士のニッキー・バージェス(Nicky Burgess)さんはAFPに対しこう語っている。「キッチュでいかにもという恥ずかしさはあるんですが、この時期だからこそ、みんなこういうおもしろいものに飛びつきたがるでんすよ。特に会社のパーティーや飲み会用ですね。とても楽しいですよ」

 ちなみに今年一番人気を集めているのは、トナカイの鼻やサンタクロースのひげなどに立体感を持たせたデザインだという。「ビヨンド・レトロ」のエマーソン代表は、「数年前だったら『こんなの絶対着られない』って感じでしたね。でも今年はみんな、『この店で一番クレイジーなセーターをください』と言って来られますよ」と笑った。(c)AFP/Jessica BERTHEREAU