【12月12日 AFP】中国の競泳選手で、ドーピング違反により3か月の出場停止処分を科されていたことが発覚した孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)について、オーストラリア人のコーチが中国メディアの取材に応じ、同選手が「苦しんでいる」と話した。

 1500メートル自由形の世界記録保持者である孫は、5月の薬物検査で興奮剤「トリメタジジン(trimetazidine)」の陽性反応を示し、8月17日までの3か月間出場停止となっていた。しかし、中国側がこの処分を明かしたのは11月になってからだった。

 これを受けて、オーストラリア水泳連盟(Swimming Australia)は先日、孫が今後オーストラリアで練習することを認めないと発表していた。

 孫のコーチを務めるデニス・コッテレル(Denis Cotterell)氏は11日、国営新華社(Xinhua)通信に対し、孫のことは残念に思うし、「個人的には同情している」と話した。

「孫の状況は非常に不幸なもので、本人を責めることは絶対にできない。テレビや雑誌、新聞などの報道を見る限り、孫が苦しんでいるのを感じる」

 コッテレル氏はさらに、オーストラリア水連が定めた新規則に従い、中国水泳連盟(Chinese Swimming Federation)との契約は打ち切らざるを得ないと話した。

 同氏はこれまで、2008年の北京五輪、400メートル自由形で銀メダルを獲得し、中国に競泳男子初のメダルをもたらした張琳(Lin Zhang、チャン・リン)をはじめ、何人もの中国出身スイマーを指導してきた。それができなくなることを、コッテレル氏は残念に思っている。

 コッテレル氏は、「中国の知り合い、特にコーチや選手と会えなくなるのは寂しい。彼らと仕事をしてきたこの8年は楽しかった」と話した。

「戻ってくる可能性はゼロではない。将来、孫楊やほかの中国人選手を指導する日が、いつかまた来るかもしれない」

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