【12月11日 AFP】ロシアの首都モスクワ(Moscow)で予定されていた、J・R・R・トールキン(J.R.R Tolkien)のファンタジー小説に登場する全てを見とおす悪の目をかたどったライトアップイベントについて、ロシア正教会(Russian Orthodox Church)から抗議の声が上がったことを受け、企画した地元デザイナー集団がイベントの中止を発表した。

【編集部おすすめ】氷のように冷たい水に漬かる信者、ロシア正教会の公現祭

 このイベントは、トールキン作の小説「ホビットの冒険(The Hobbit)」をピーター・ジャクソン(Peter Jackson)監督が映画化した3部作の最終章『ホビット 決戦のゆくえ(The Hobbit: The Battle of the Five Armies)』が11日に公開されるのを記念し、同作のファンであるデザイナー集団「スベチェニエ(Svecheniye)」が、モスクワ市内にある21階建ての高層ビルで実施する予定だった。

 原作小説の「ホビットの冒険」とその続編に当たる「指輪物語(The Lord of the Rings)」3部作では、力の指輪をつける者を見つけるために冥王サウロン(Sauron)が操る巨大な炎の目「サウロンの目(Eye of Sauron)」が登場する。

 だがロシア正教会の広報責任者であるフセボロド・チャプリン(Vsevolod Chaplin)大司教は、ガバリート・モスクバ(Govorit Moskva)ラジオに対し「これは悪魔のシンボル(象徴)だ」「後になってこの街に悪いことが起きても、驚くべきではない」と警告。また市当局も、イベントの開催には許可が必要な可能性があると述べていた。

 イベントを企画したスベチェニエは10日、フェイスブック(Facebook)上で、「残念ながら、『サウロンの目』プロジェクトは中止せざるを得ない」と発表。「これほどまでの世間の反応」が起きることは予想外だったと説明した。

 さらに「このプロジェクトには宗教的もしくは政治的な意味はなく、どんな形であれ否定的に受け取られることは望んでいないので、プロジェクトに向けた準備を中止することに決めた」と述べた。(c)AFP