■今より温暖、湿潤な気候

 数十億年前、火星は今よりずっと温暖で、分厚い大気があったと考えられている。これにより当時の火星には液体の水とおそらく何らかの種類の生命が存在したのではないかと思われる。

 キュリオシティー計画の副主任科学者、NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)のアシュウィン・バサバーダ(Ashwin Vasavada)氏によると、最新データは「火星の温暖湿潤な時期が、歴史上でこれまで考えられていたよりも少し時代が下り、約35億年前(誤差プラスマイナス数億年)にあったことを示す傾向がみられる」という。

「この時期が連続的だったか断続的だったかについては不明だ」と同氏は記者会見で述べた。

 キュリオシティーは2012年にゲール・クレーターに着陸して以来、同地域の探査を続けており、着陸地を出発してから8キロの距離を走行した。

 今後は、キュリオシティーがシャープ山を登って採取するデータから、同山の形成、そして現在は寒冷乾燥で大気が非常に薄い火星で数十億年前に起きた事象に関する知見がさらに得られることを科学者らは期待している。

 グロッチンガー氏は「湖が淡水化したり、塩水になったり、完全に蒸発したりした時期があったかどうかを確かめたいと思っている」と話し、「これにより、火星の気候史に関する今より高いレベルの知識が得られ始めるに違いない」と続けた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN