■監禁や隔離

 アブ・ズベイダ容疑者は、「グリーン収容所(Detention Site Green)」と呼ばれる施設での尋問で、20日間で累計266時間(11日と2時間)にわたり大きなひつぎほどのサイズの箱に入れられた他、さらに小さな箱にも29時間にわたり入れられた。

 尋問責任者によって「ダンジョン(地下牢)」と呼ばれていたCOBALTの施設では、収容者は完全な暗闇の中で、しばしば裸で頭上に両手をつながれた状態で拘束されていた。部屋には大音量の音楽や騒音が流され、排せつ用のバケツが与えられた。2002年には半裸でコンクリート製の床につながれた収容者が死亡した。死因は低体温症とみられている。

 氷水による入浴やシャワーも使われていた。ガイドラインでは収容者を72時間以上放置することは禁じられていたが、一部の収容者はおむつの着用を強制されていた。

■「ラフ・テイクダウン」

 この手法はCOBALTで用いられていた。CIAの担当官5人ほどが収容者を怒鳴りつけ、監房から引きずり出し、服を切り裂いて裸にして体をガムテープで巻いた。さらに頭にフードをかぶせ、平手打ちしたり殴ったりしながら、土が敷かれた通路を繰り返し引きずった。

 COBALTで死亡したグル・ラフマン(Gul Rahman)容疑者の体には、肩や腰、腕、脚や顔に打撲傷や擦り傷があった。

■裸で尋問

 収容者を裸にして監房に放置することも頻繁にあった。ズベイダ容疑者は、全裸で監禁されていたが、尋問時には体を隠すためにタオル1枚が与えられた。2000年の米海軍駆逐艦「コール(USS Cole)」爆破事件のアブド・ラヒム・ナシリ(Abd al-Rahim al-Nashiri)容疑者は、多くの場合、尋問時に裸にされていたが、鼻風邪で震えが止まらなかった際に服を与えられたこともあった。

■心理的な脅迫

 CIA担当官による収容者への脅迫は日常的に行われていた。ある収容者は、施設を出られるとすれば、「ひつぎの形をした箱」に入った状態での出所になるだろうと告げられた。

 少なくとも3人の収容者が、CIAが子どもを含む家族に危害を加えるだろうと脅された。ある収容者は母親に性的暴行を加えると言われ、別の収容者は母親の喉がかき切られるだろうと言われた。この手法は、収容者に「無力感」を与えることが目的とされる。

 ナシリ容疑者は、CIAの担当官が近くでコードレスのドリルを操作する中、目隠しをされ、頭の近くに拳銃を突き付けられて、生命の危険を感じさせるロシアンルーレットのようなことをされたこともあった。