【12月8日 AFP】豪ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)の研究チームは8日、太陽電池パネルの効率を向上させる画期的な技術を開発したと発表した。将来的に、再生可能エネルギーの安価な供給源となることが期待されているという。

 研究チームは、太陽電池パネルに当たる太陽光の40%以上を電気に変えることに世界で初めて成功したという。

 同大学のマーティン・グリーン(Martin Green)教授は声明で、「これは、太陽光を電気に変換する効率としては、これまで報告されている中で最も高い」と述べている。

「われわれは市販の太陽電池を新しい方法で用いているため、これらの効率向上技術は太陽光発電産業に容易に応用できる」

 グリーン教授がAFPの取材に語ったところによると、太陽電池を1個しか使用しない従来の方法では、太陽光を電気に変える変換効率は約33%が限界だったが、新たな方法では、太陽光を太陽電池4個に分配することで、変換レベルを向上させるのだという。

 ニューサウスウェールズ大によると、シドニー(Sydney)で行われた実験で達成された効率レベルの新記録は、米国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy LaboratoryNREL)の再現実験でも確認されたという。

 グリーン教授は、住宅の屋根に取り付けられる太陽電池パネルにもいずれこの技術を応用できると期待を寄せている。同教授によると、現在の太陽電池パネルの変換率は15~18%という。

 同教授は、AFPの取材に「住宅の屋根に設置されているソーラーパネルには今のところ、太陽電池が1個しかないが、ゆくゆくは複数個に増やせる。そうすれば、効率をこのくらいのレベルにまで向上させることが可能になる」と語った。

 効率レベルの向上などの技術的な進歩が太陽光発電産業で達成されることは、再生可能エネルギーのコストを下げる助けになるとグリーン教授は指摘している。

 10年以内に、太陽光発電による電気は火力発電よりも安価になると同教授は確信している。(c)AFP