【12月6日 AFP】米カリフォルニア(California)州オークランド(Oakland)で今週始まった裁判で5日、2011年10月に亡くなった米アップル(Apple)共同創業者、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏の「死後証言」が行われた。

 2006~09年の間にアップルの携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」を購入した消費者が、同社のオンライン・コンテンツストア「iTunes Store‎(アイチューンズ・ストア)」での楽曲購入を実質的に強要されていたかどうかが争われている。

 この集団訴訟で原告側は、アイチューンズ・ストアのソフトウエアが頻繁に更新されるため、他のオンライン音楽配信サービスではアイポッドでの利用を可能にするためのシステム更新が追い付かず、アイポッドのユーザーは実質上、アイチューンズでの楽曲購入を強いられていたと訴えている。

 5日の公判で、ジョブズ氏が亡くなる数か月前に撮影された証言が再生された。米IT系ニュースサイト「ザ・バージ(The Verge)」が伝えた抜粋によるとジョブズ氏は、アイチューンズ・ストアで購入された曲がアイポッドにダウンロードされ、そこからさらに別の人物のコンピューターへコピーされた場合に、レコード会社から受ける可能性がある報復措置をアップルは「非常に懸念」しているため、「デジタル著作権管理システムへのハッカーへの侵入を必死になって食い止めている」と語っている。

 しかし、そのシステムへの侵入を試みる「大勢のハッカー」が存在することから、アップルでは絶えず「アイチューンズ・ストアとアイポッドのソフトウエアを更新し、存在し得るセキュリティーホールをふさぎ、さまざまな問題を是正」することを余儀なくされており、その結果として競合他社が締め出されているとすれば、それは「副次的な損害にすぎない」と説明している。

 来週も続くこの訴訟で、原告側は3億5000万ドル(約425億円)の損害賠償を求めている。(c)AFP