【12月3日 AFP】米連邦捜査局(FBI)は2日、米映画製作大手ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)が先週受けたサイバー攻撃について他の米政府機関と協力して捜査していることを明らかにした。

 各種報道によると、この事件で同社の従業員の個人情報や未公開の映画がインターネットに流出したと伝えられている。

 セキュリティー関連のブロガーで研究者のブライアン・クレブズ(Brian Krebs)氏は、氏名・勤務地・給与の額・生年月日などが記載されたソニーの世界の従業員6800人以上のリストを違法に売買する複数のウェブサイトを発見したと語った。クレブズ氏によると2014年4月以降の状況報告書とみられる別のファイルも売買されており、こちらにはソニーの従業員700人以上の氏名・生年月日・社会保障番号(SSN)・医療貯蓄口座のデータが記載されていたという。

 一方、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は、ソニーへのサイバー攻撃で使われたマルウエア(悪意のあるソフトウェア)について、FBIが民間企業に秘密のメモを送って警告していると伝えた。これについてFBIの報道官は、「民間企業への情報提供は日常的に行っている」とだけ回答して具体的な内容は明らかにしなかった。

 同紙によると、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントへのサイバー攻撃には、サウジアラビアの国営石油会社サウジ・アラムコ(Saudi Aramco)などの中東や韓国の企業に大きな被害を与えたマルウエアと似たものが使われたという。

 ここ数日のいくつかの報道によると、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記の暗殺計画を描いたコメディー映画『The Interview (ザ・インタビュー)』の公開が近いことから、今回のサイバー攻撃に北朝鮮が関与した可能性について調べているとされていた。

 エンターテインメント・ニュースサイト「バラエティ(Variety)」によると、『アニー(Annie)』、『フューリー(Fury)』などのソニーの未公開の映画作品が海賊ファイル共有サイトで利用できる状態になっていたという。AFPはソニーにコメントを求めたが、回答は得られなかった。(c)AFP