【12月1日 AFP】「世界エイズデー(World AIDS Day)」の1日、世界保健機関(WHO)は、中国でAIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)を発症した患者またはその原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染者は、計50万人近くに上るとする政府統計の報告を受け、中国政府に行動をとるよう求めた。

 前日、中国国家衛生計画出産委員会(National Health and Family Planning Commission)は10月末までの統計として、国内で初めてHIVへの感染例が確認された1985年以降、HIVへの感染またはエイズの発症を診断された例は49万7000人に上ると発表した。約1年前の2013年9月の発表時では43万4000人だったが、数字の増加が感染者の増加によるものなのか、診断件数の増加によるものなのかは定かでない。またさらに15万4000人が、過去30年の間にエイズで亡くなったという。

 中国エイズ・性感染症予防対策センターは昨年、人口13億6000万人のうち、まだ診断されていない件数を含め最大約81万人がHIV感染者またはエイズ患者だろうと推計している。

 一方、国連合同エイズ計画(UNAIDS)のキャサリン・スズィ(Catherine Sozi)中国支局長は、先月29日の国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)に投稿した論説で、中国で抗レトロウイルス薬(ARV)による治療を受けている人は25万人以上に上ると述べた。

 さらにWHOのバーンハート・シュワルツランダー(Bernhard Schwartlaender)中国支部代表は同紙への論説の中で、HIVへの感染予防と感染者への支援に関し「中国はやらなければならないことがたくさんある」と記し、「おそらく最優先課題はHIV感染者や、同性愛者の男性、性産業に従事する者、薬物使用者といった高リスク・グループへの偏見と差別をなくすことだ。私の同僚(WHO関係者)の医療専門家でさえ、患者の性的指向を受け入れられないとして追い返したこともある。あってはならないことだ」と警告した。

 中国国家衛生計画出産委員会によれば現在、エイズの感染理由の9割を占めているのは性交渉で、次いで母子感染や注射器の共有となっている。(c)AFP