【12月1日 AFP】スイスで11月30日に実施された国民投票で、環境保護を理由とした移民数の大幅削減の提案が、圧倒的多数で否決された。同提案をめぐっては、外国人排斥でありスイス経済にとっても打撃だなどとの批判を呼んでいた。

 環境団体「エコポップ(Ecopo)」が主導した提案は、移民数を制限し人口増加を抑え、アルプスに位置する同国の美しい景観に対する都市化の圧力を緩和することを目的としたものだったが、最終開票結果では74.1%が反対票を投じたとされた。

 同日の住民投票では、スイス在住ながら働いていない外国人富裕者に対する税制優遇を廃止する提案と、スイス国立銀行(中央銀行)に金準備の拡大を義務付ける提案の是非も問われたが、いずれも否決された。

  2月に行われた国民投票では、欧州連合(EU)諸国からの移民数に制限を設ける提案が僅差で承認され、EU非加盟国のスイスとEUとの関係が悪化。以来、スイス政府は、主要貿易相手のEUがスイスと結んできた多岐にわたる相互協定を破棄することがないようにしつつ、この投票結果を実行に移すことに苦慮してきた。

 エコポップの移民制限提案については、可決されればEU諸国との関係はさらに悪化するとして政府、全政党、産業界、雇用主、労働団体が反対票を投じるよう有権者に呼び掛けていた。

 反対陣営はエコポップの提案を「ばかげている」と批判するとともに移民労働力への依存度が高いスイス経済にとって脅威となると警告していた。(c)AFP/Nina LARSON