【12月1日 AFP】オランダ当局は11月30日、同国内の養鶏場で新たに鳥インフルエンザが発生したことを明らかにした。最近、他地域で検出された感染力の強い新種のH5N8型ウイルスかどうかは現時点で不明という。

 同国経済省は、声明で「ズーターワウデ(Zoeterwoude)の養鶏場で鳥インフルエンザ(ウイルス)が検出され、約2万8000羽が感染した」と発表。「これらの鳥はH5型インフルエンザウイルスの変異株に感染しているが、高病原性のウイルスかどうかはまだ不明」と続けた。

 オランダでは、感染力の強いH5N8型鳥インフルエンザウイルスが、2週間前に確認されている。同ウイルスについては、アジアからの渡り鳥によって持ち込まれた可能性があると当局はみている。

 鳥インフルエンザの一部のウイルス株は、ニワトリに対して致死性を持つ上、感染した家禽の処理を行った人間の健康にも害を及ぼす。ただ人間への感染については、感染した鳥に「集中的、直接的に接触」した場合に限り発生する恐れがあるとオランダ当局は指摘している。

 鳥インフルエンザをめぐっては2003年、致死率の高いH5N1型ウイルスが東南アジアを中心に猛威を振るい400人以上が命を落としている。また、2013年に初めて検出されたH7N9型ではこれまでに170人以上が死亡している。

 今回、感染が確認されたズーターワウデは、11月中旬に初の鳥インフルエンザウイルスが検出された都市、ヘーケンドルプ(Hekendorp)の約35キロ北に位置している。ヘーケンドルプでは、ニワトリ約15万羽が殺処分となった。

 オランダ国内ではこれまで、この他に少なくとも3地域で鳥インフルエンザが検出されており、またドイツや英国でも同種のウイルスが報告されている。

 当局は11月30日、今回新たに感染が発生したズーターワウデの養鶏場で家禽の殺処分を開始すると同時に周囲10キロを立ち入り禁止区域に指定した。また同地域の養鶏場4か所で鳥インフルエンザの調査を実施するとしている。

 オランダ政府の最新の統計によると、同国内の養鶏場ではニワトリ約9500万羽が飼育されており、2011年の鶏卵の輸出高は約106億ユーロ(約1兆5700億円)に上っているという。(c)AFP