【11月30日 AFP】29日投開票の台湾の統一地方選挙は、与党国民党(KuomintangKMT)が大敗し、首相に当たる江宜樺(Yi-huah)行政院長が「政治的責任」を取って辞任すると発表した。

 台湾史上最大の規模となった今回の選挙では、6直轄市をはじめとする全行政区の首長と議員ら約1万1130人が選ばれた。有権者は約1800万人。投票率はまだ公式に発表されていないが、65~70%とみられている。

 公式な選挙結果によると、国民党は最も激しい選挙戦が繰り広げられた6直轄市のうち5市の市長選で敗北した。選挙前に国民党は4直轄市の市長を出していた。

 野党民進党(Democratic Progressive PartyDPP)は、同党が支持した無所属新人が国民党の牙城だった台北(Taipei)市長選で当選するなど、6直轄市の市長を2市から4市に倍増させた。国民党が直轄市長選で勝ったのは新北(New Taipei)市だけだった。

 選挙前に国民党は北部の3直轄市と中部の1直轄市の市長を出していた。民進党は南部の2直轄市長を出していた。

 中国からの影響力増大に住民の不安が募る中行われた今回の選挙は、対中関係が主要な争点となる2016年に次期総統選を控え、重要な試金石になるとみられていた。政府は減速する経済や相次いだ食品関連の不祥事にも見舞われていた。

 台北にある中国文化大学(Chinese Culture University)の政治学者、蔡瑋(George Tsai)氏は、「両党にとって意外な結果だったと思う。国民党にとっては勝利できると思っていた地域でも敗北するという悪い結果だった」と述べた。「選挙結果は国民党に、より透明性を高め、(有権者の声に)より良く対応するように政策を根本的に調整しなければ、2016年の選挙で敗北しかねないという明確なメッセージを送った」

(c)AFP/Amber WANG, Benjamin YEH