【11月24日 AFP】フランスに住むダウン症候群の男性の30歳の誕生日を祝うため、男性の母親がバースデーカードを送ってくれないかとSNSのフェイスブック(Facebook)を通じて呼び掛けたところ、世界中からトラック数台分にあたる約3万通のカードが男性の元に届いたという。

 仏北部カレー(Calais)に暮らすマヌエル・パリソ(Manuel Parisseaux)さんの誕生日である22日までに膨大な数の手紙が届いたため、家族は隣家の車庫を借りて保管しなければならなくなった。

 母親のジャクリーヌ・パリソ(Jacqueline Parisseaux)さん(61)は、AFPの取材に「どうしてこんなに話が大きくなったのか分かりません。マヌエルは私たちと同じく、感激の涙を流しています」と語る。

 事の始まりは11月3日、チャイルドケアワーカーのジャクリーヌさんが夫に、今年はマヌエルさんの誕生日を「全力を尽くしてお祝いしましょう」と話したことだった。

 そこでジャクリーヌさんと夫は、数人が目に留めてくれるだろうと期待して、次のようなメッセージを夫のフェイスブックのページに投稿した。

「私の息子マヌエルは、11月22日で30歳になります。彼はダウン症です。このメッセージは、あなたのお時間を数分割いていただき、ささやかなカードを彼に送っていただけるようお願いするために投稿しています。そしてどうか、このつながりが途切れないよう、あなたのお友達にこのメッセージを伝えてください」

「皆様のご厚意に感謝いたします。マヌはきっと、とても喜ぶに違いありません」

 するとカードが数十枚単位で届き始めた。そして、しばらくすると世界中から数百枚単位で届くようになり、やがて郵便配達員がカードを全部運んでくることができなくなるほどに膨れ上がり、最終的にはトラックで配達に来るようになったという。

「あっという間に雪だるま式に増えました。私たちの投稿は12万回もシェアされたのです。なかには私たちの正体を企業と疑う声や、詐欺を疑う声もあり、トラブルも少々起きました」とジャクリーヌさんは説明した。

■反応は世界中から集まった。

 ジャクリーヌさんは「スリランカ、米シカゴ(Chicago)、香港(Hong Kong)など、世界中からカードが届きました。時には子どもの絵が同封されていることもありました」と涙をこらえながら語った。

 誕生日当日の22日には3000枚のカードが届き、カードの総数は3万枚に到達した。中にはチョコレートの箱詰めやキーホルダー、ケーキなどのプレゼントが同梱されているものもあったという。

 家族は現在、届いたバースデーカードを全て選別する作業を行っており、一枚残らず大切にとっておくことを約束した。「とても全部に返事は書けないけど」とジャクリーヌさんは笑顔で話した。(c)AFP