【11月20日 AFP】米大リーグ(MLB)、マイアミ・マーリンズ(Miami Marlins)の主砲ジャンカルロ・スタントン(Giancarlo Stanton)は19日、チームと北米スポーツ史上最高額の契約を結んだ。

 今回の長期契約で何日も眠れない夜を過ごしていたというスタントンは、2027年までの13年間で総額3億2500万ドル(約380億円)という破格の契約を交わした。

 2028年シーズンのオプション契約については球団側が権利を保有しているが、スタントン側は球団史上初のトレード拒否権に加えて、6年後には契約を破棄(オプトアウト)できる権利を手にしている。

「この件を考えて、何日も眠れない夜を過ごした」と明かした25歳のスタントンは、「周囲がどう思おうと、お金で今回の決断を下したわけじゃない」と語った。

「人生で最も難しい決断だった。13年間だなんて、学校でもそれほど長い間通ったことはない」

 大リーグを代表する強打者の一人であるスタントンは、今季のナ・リーグで最多となる37本塁打に加え、自己最多の105打点を記録するなど素晴らしい活躍をみせ、同リーグ年間最優秀選手(MVP)の投票では、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)のクレイトン・カーショウ(Clayton Kershaw)に次ぐ2位に入った。

 マーリンズの球団運営部門で社長を務めるマイケル・ヒル(Michael Hill)氏は、「球界には最高の若手選手がおり、わがチームにはその中心選手がいる」と語った。

 6年後のオプトアウトについて、自ら申し出たと明かしたスタントンは、「それは重要な条件の一つで、自分を守るためのものだった」と語っている。

 オールスターに2度選出されているスタントンは、9月にミルウォーキー・ブルワーズ(Milwaukee Brewers)のマイク・ファイヤーズ(Mike Fiers)の投球を顔面に受け、複数箇所の顔面骨折と切り傷、そして歯に損傷を負い、シーズン終盤に戦線を離脱した。

 スタントンは、その時の危険球が将来を考えるきっかけにはなったとしながらも、今回の契約を結ぶ理由ではなかったとしている。

「契約とは何の関係もないことだ」と強調したスタントンは、「あんなふうに死球を受けた時は、一瞬で選手生命を奪われることになると実感した」と明かした。

 今回の契約は、3月にデトロイト・タイガース(Detroit Tigers)と契約を延長したミゲル・カブレラ(Miguel Cabrera)や、2008年にニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)と高額契約を結んだアレックス・ロドリゲス(Alex Rodriguez)を上回ることになる。

 米スポーツ専門チャンネルESPNは、スタントンが最初の3年間で3000万ドル(約35億5000万円)、最後の7年間で2億1800万ドル(約258億円)を受け取ると報じている。

 この契約で、マーリンズがワールドシリーズ制覇に向けて正しい方向に進むことになるとの見解を示したスタントンは、「自分が活躍しないでチームが勝ったとしても、別に気にしないよ」と語った。

「みんな破格の大型契約について話したがっているけど、それは(記者が)報道したいだけだ。僕は、フィールド上で記録を破ることについて話したい」

 2010年にマーリンズでMLBデビューを飾ったスタントンは、ここまで通算634試合に出場し、154本塁打、399打点、打率2割7分1厘を記録している。

 2017年シーズンにフリーエージェント(FA)の資格を得るはずだったスタントンは、「僕たちには勝てる環境が必要であり、これはより良い未来に向けて、一つの土台を築くことになるんだ」と語った。(c)AFP