【11月16日 AFP】日米欧に新興国を加えた20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)が行われているオーストラリアのブリスベーン(Brisbane)で16日、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領、安倍晋三(Shinzo Abe)首相、トニー・アボット(Tony Abbott)豪首相が3か国首脳会談を行った。

 会談終了後に発表された共同声明で、3首脳はロシアによるクリミア(Crimea)半島の併合とウクライナでの軍事介入に強く反対するとともに、親ロシア派武装勢力の関与が疑われている今年7月のマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便撃墜の責任を負うべき者に正当な法の裁き受けさせることで一致したことが明らかにされた。今回のG20サミットでは、ウクライナ問題やマレーシア航空機撃墜をめぐる西側諸国とロシアの対立が浮き彫りになっていた。

 経済や外交分野での中国の台頭を妨害する考えはないと再三表明してきたオバマ氏だが、前日当地で行った演説の中では中国政府が国際社会で責任ある行動を取る必要性を強調。アジアの「離島や岩だらけの浅瀬」の領有権をめぐる中国と周辺諸国の対立が「紛争に発展する恐れがある」と警告した上で、米国は再び「軸足」をアジアに置き、今後もアジアにとどまると明言した。

 中国政府はアジアにおける自国の発言力の高まりを抑制するため日米豪の3か国が一致団結しているとの不安を募らせる可能性がある。ただ、3首脳の会談前にある米政府高官は、日米豪はアジア太平洋地域のはるか先を見据えているとコメント。「3か国のパートナーシップは、域内の安全保障体制、例えば海上警備やミサイル防衛を改善し、過激派組織『イスラム国(Islamic StateIS)』やウクライナ情勢、エボラ出血熱といった国際問題への取り組みで連携するため、アジアの主要パートナーの能力を活用していく新しい、ユニークな手法だ」と説明した。

 今回のG20サミットはロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と西側各国首脳の対立が付きまとった。ロシア側の関係者からプーチン氏がサミットの終了を待たずにブリスベーンを後にするという情報も流れ、ロシア政府がこれを否定する一幕もあった。プーチン氏は16日、サミット最後の昼食会には出席したが、最終コミュニケの発表を待たずにブリスベーンを後にした。

 G20サミットはイスラム国への厳しい対応を呼び掛けるとともにエボラ感染対策への集団的取り組みを表明し、16日に閉幕する。(c)AFP