【11月15日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王が、バチカン市国のサンピエトロ広場(St Peter's Square)周辺で暮らす路上生活者のためにシャワー設置を命じた。法王に最も近い補佐役と、ある路上生活者との出会いがきっかけとなっている。

 バチカンを訪れる巡礼者や観光客のための公共トイレを改修し、路上生活者が体や衣服を洗えるよう、3つのシャワーを設置する作業が11月中に始まる。設置場所は、豪華な宮殿住まいを辞したフランシスコ法王が暮らす質素な建物のすぐそば。こうした取り組みがすでにローマ市内の10か所の教区で進行中だ。

 ローマ教会で貧しい人々を対象とした慈善活動を担当するコンラート・クラジェウスキー(Konrad Krajewski)大司教は10月、サンピエトロ広場に続く大通りを物思いにふけりながら歩いていた際、サルデーニャ島(Sardinia)出身の路上生活者の男性と出会った。クラジェウスキー大司教はイタリア紙スタンパ(La Stampa)とのインタビューで、その男性が「その日、50歳の誕生日を迎えることや、路上で10年生活していることを話してくれた」と語った。

 大司教はこの路上生活者を夕食に招待することに決めた。男性は最初、「私は臭うから」と言って断ったが、大司教に説得されて夕食を共にすることに。その席で、ローマでは飢え死にする心配はないが、清潔でいることの方が難しいと話したところ、大司教がすぐに行動に移った。

 シャワー設置では、ある建設会社が無償工事を申し出たほか、慈善活動に熱心なイタリアのテノール歌手、アンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)さんが寄付金を送った。(c)AFP