【11月17日 AFP】米国のファストフード業界による子供向けの販促戦略が、特に中間所得者層が多く住む地域、地方部、アフリカ系コミュニティーで多く見られることが、最近の調査で明らかになった。

 調査は、アリゾナ(Arizona)州にあるアリゾナ州立大学(Arizona State University)とイリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)にあるイリノイ大学(University of Illinois)の研究チームが行ったもので、全米のファストフード店6716軒を対象として、店舗での広告などについて調べた。

 対象となった販売戦略には、子供向けのおまけの無料配布や人気スポーツ選手やアニメのキャラクターを採用した広告掲出、さらには遊戯施設の用意やバースデーパーティーなどのイベントまで、さまざまなものが含まれた。

 研究によると、これら地域の店舗では、特に無料のおもちゃ付きメニュー「キッズミール」に関する店舗内部での広告の掲示が目立った。キッズミールは、チェーン展開するファストフード店での導入が多い。研究チームは、「調査の結果を踏まえると、ファストフード業界は、不健康な食べ物の消費を勧める広告の子どもらへの露出をより限定的にすることが重要と考えられる」と提言した。

 米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)によると、米国では成人の3人に1人が肥満であるとされ、その背景にファストフードの根強い人気があると広く考えられている。

「米国医師会内科学雑誌(Journal of the American Medical Association Internal Medicine)」は今年2月、全米では2~5歳の子どもの肥満率が43%低下しており、肥満の子供の数が減少し始めているとの研究論文を掲載していた。

 研究を主導したアリゾナ州立大学のプナム・オーリ・ヴァチャスパティ(Punam Ohri-Vachaspati)教授(栄養学)はAFPに対し、ファストフード業界が特定の層を標的として集中的にマーケティングを行う理由を推測するのは難しいと述べる。

 その一方で、「これまでの研究から、ターゲットとなる層はファストフードの消費量が多い傾向にあるほか、健康的な食事の選択肢に乏しく、肥満率が高いことが分かっている」と指摘し、今回の研究結果が、ファストフード業界が子どもを対象としたマーケティングを抑制するきっかけになればと願っていると述べた。(c)AFP