【11月12日 AFP】バイオリニストでありながら、スキー選手になるという夢をかなえたヴァネッサ・メイ(Vanessa Mae)が、ソチ冬季五輪の出場資格を得るために不正を行ったとして、11日、4年間の出場停止処分を言い渡された。

 メイは、1月に大吹雪の中スロベニアで行われた大会で五輪の出場資格を獲得したとされているが、国際スキー連盟(FIS)によれば、その結果に多くの不自然な点が見つかったという。

 1月18日から19日の間で行われたレースの結果について、FISは「参加選手の本当の結果が記録されていない上に、ヴァネッサ・ワナコーン(Vanessa Vanakorn、競技でのメイの登録名)に与えられたポイントが不自然」だと表現し、「操作された」のではないかとしている。

 シンガポールでタイ人の父と中国人の母の間に生まれ、英国で教育を受けた36歳の元神童メイは、4年間、FISが主催するいかなる大会にも出場することができない。

 1月19日にクルヴァヴェツ(Krvavec)で行われた2つの大回転のレースでは、参加していない選手の記録が載っていたばかりか、転倒したにもかかわらず10秒以上タイムが修正され、2位に入っていた選手がいたとFISは伝えている。

 また、手動でゲートを開けることで、スタート地点をごまかしていた選手もいたという。

 レースが行われた日の天候も大荒れで、「国内で同規模の大会が行われていたら、中止は必至だった」と当日の審判がコメントしている。

 FISは、大会の責任者を2年間の資格停止としたほか、関係者4人に1年間の同処分を言い渡した。

 冬季五輪に出場したタイ史上初の女子スキー選手となったメイは、父親の名字であるワナコーンの登録名で、大会期間中の話題をさらった。

 しかし、発売したアルバムがミリオンセラーとなる音楽のキャリアとは対照的に、ソチ冬季五輪アルペンスキー女子大回転でのメイの記録は、2回の滑走を終えて67位。

 メイは当時、「最下位になることは想定していた。それでもやっぱり五輪は素晴らしい機会」とコメントしていた。

「途中で3回ほどクラッシュしそうになったけど、ちゃんとゴールできた。それが重要なこと」

 メイは、音楽は「一生続く情熱」、スキーは「一生続く趣味」と語っていた。

 FISは、21日以内であれば異議を申し立てることができるとしている。(c)AFP/Thomas BACH