【11月11日 AFP】猫が独立心が高いながらも人懐っこいペットに進化した過程において、温厚な性格と、魚や肉など脂肪分の多い餌を好んだことが一助となった可能性があるとの研究論文が10日、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)で発表された。

 さらに家畜化された後は、白い足など特定の容姿を持つ猫を人が好んだことが、現在知られている38の種に選り分けられる上で重要な役割を果たしたと、研究チームは指摘している。

 米ワシントン大学医学部(Washington University School of Medicine)などのチームは、イエネコの遺伝子を、他の品種の猫やヤマネコ、その他のほ乳類と比較し、一連の相違点を特定した。

 例えば、トラとイエネコはそれぞれ、大量の脂肪酸を摂取するが、もし人間がそのような食生活を続ければ引き起こしかねない心臓疾患や高コレステロールを発症することのない驚異的な身体能力を持っている。実際、ネコ科の動物は、健康に育つために肉が必要なのに対して、他の大多数の肉食動物は、植物や穀物、豆類が中心の食事でも生き延びることが可能だ。

 ワシントン大学医学部は声明で、「研究チームは、猫やトラといった肉食動物に、偶然とは説明できないほどの速さで変化した特定の脂肪代謝遺伝子を発見した」と説明している。またイエネコには、記憶や恐怖条件付け、刺激報酬学習に関連した特徴に遺伝子選択の明確なしるしが確認されたことから、より従順な猫がペットとして好まれた可能性が示唆された。

 容姿の遺伝子選択も、最近の世代ではとりわけ明白だ。論文は、「食料や牧羊、狩猟、警備などの目的で家畜化された他の多くのほ乳動物とは異なり、過去150年以内に生まれた30~40種の猫の大半は、主に機能的特徴ではなく美的特徴の選択によって誕生した」としている。その一例として、バーマン種の猫が特徴的な白い足を発展させたのは、人間が同じ容姿の猫の繁殖を選択したことが理由である可能性があるという。

 猫が人間と暮らしていたことを示す最古の考古学的証拠は、9500年前の地中海キプロス島にさかのぼる。また中国中部でも、5000年前に猫がペットとして飼われていたことを示す考古学的証拠が発見されている。(c)AFP