【11月11日 AFP】イスラエルとパレスチナ自治区で10日、刃物を使った攻撃が2件発生し、合わせて兵士1人と女性1人の2人が死亡、2人が負傷した。エルサレム(Jerusalem)で今年夏から続いている情勢不安が、イスラエルとヨルダン川西岸(West Bank)の各地に広がっている。

 最初の攻撃は、イスラエルの最大の商業都市テルアビブ(Tel Aviv)で発生。ヨルダン川西岸北部の難民キャンプに居住するパレスチナ人の男(17)が、イスラエル人兵士(20)を刃物で刺した。被害者は重体となり、搬送先の病院で死亡した。テルアビブで一連の情勢不安による死者が出たのは初めて。刺した男は逃走したが、後に逮捕された。警察の報道官は、「民族主義的な動機による攻撃とみられる」としている。

 テルアビブの事件の数時間後、今度はヨルダン川西岸南部の入植地付近で、別のパレスチナ人が同じく刃物でイスラエル人3人を襲った。同警察報道官によると、「アロンシャブート(Alon Shvut)入植地の入り口にあるヒッチハイキング地点で1台の車が停車し、降りてきた運転手がそこに立っていた市民3人を刺した」という。医療関係者の話では、この攻撃により25歳前後の女性1人が死亡し、また男性2人がけがをした。

 警察は、被害者の3人はいずれもユダヤ人入植者だったとしている。その後治安当局者が犯人に向けて発砲、男は重傷を負ったためエルサレム市内の病院に搬送されたが、後に死亡したという。パレスチナの治安当局によると、3人を襲った男はヨルダン川西岸南部の都市ヘブロン(Hebron)から来ていたという。

 イスラエルが実効支配している東エルサレム(East Jerusalem)とその周辺では、今年7月上旬に10代のパレスチナ人1人がユダヤ人過激派に殺害されたことをきっかけに、4か月にわたって情勢不安が続いている。

 イスラム寺院「アルアクサ・モスク(Al-Aqsa Mosque)」での宗教対立に基づく緊張の高まりや、東エルサレムのイスラエル人入植拡大の動きも相まって情勢は悪化している。

 今年8月以降、エルサレムではパレスチナ人による襲撃事件が4件発生。3件は通り魔的な殺人事件で合わせてイスラエル人5人が死亡し、残る1件は走行中の車からの銃撃未遂だった。4件とも東エルサレムから来た単独犯の犯行で、容疑者はいずれも射殺されており、そのことが情勢不安の悪化に拍車をかけた。

 さらに今月8日にイスラエル北部の都市ナザレ(Nazareth)近郊のクファルカナ(Kfar Kana)でアラブ系イスラエル人の青年ヘール・ハムダン(Kheir Hamdan)さん(22)が警察によって射殺された事件を受け、その不穏な状況はイスラエルのアラブ系地区にも広がっている。

 イスラエルは今年7月以降、治安の悪化を食い止めるため警察動員数を大幅に増やし、東エルサレムで約900人のパレスチナ人を逮捕した。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は9日、治安を乱す者には厳しく対処する姿勢を示していた。(c)AFP/Hazel Ward