【11月11日 AFP】米コーヒーチェーン大手スターバックス(Starbucks)は先月、同社にとって売上高で世界第2位の日本市場にさらなる攻勢をかけるべく、日本法人のスターバックスコーヒージャパン(Starbucks Coffee Japan)を完全子会社化すると発表した。すでに全国で1000店舗以上を展開し、まもなく進出する鳥取県で全都道府県を網羅することになるスターバックスだが、誰もが好意を抱いているわけではない。

 東京・銀座にある老舗喫茶店「カフェ・ド・ランブル(Cafe de L'Ambre)」を経営する100歳のオーナー、関口一郎(Ichiro Sekiguchi)さんはスターバックスのコーヒーの作り方はなっておらず、おいしくもないと断じた。

 コーヒー以外のメニューは扱っていないにもかかわらず、木調の内装で整えられた薄暗いランブルの店内は、関口さんが日本一と太鼓判を押す一杯700円のコーヒーを飲みに訪れた客たちでにぎわっている。深い風味をたたえた濃いめの芳醇なコーヒー。値段はスターバックスの少なくとも2倍はするが、それを払う価値があると来店客たちは考えている。

 個人経営の喫茶店の多くがそうであるように、ランブルは常連客によって支えられている。元プロレスラーのアントニオ猪木(Antonio Inoki)参議院議員もそのうちの一人だ。近所にある「カフェーパウリスタ(Cafe Paulista)」には、元ビートルズ(Beatles)の故ジョン・レノン(John Lennon)さんと妻のオノ・ヨーコ(Yoko Ono)さんがかつてよく訪れていた。

 ランブルの常連客の中には、関口さんや従業員が丁寧に煎った豆を使っていれたコーヒーを50年間、毎日飲みに通っている客もいるという。

 関口さんが店を開いた1948年当時、それまで緑茶が長らく親しまれてきた日本では、進駐米軍の影響からコーヒーが人気を博するようになっていた。現在日本は、昨年のコーヒーの消費量が44万6392トンに達するなど、米国、ブラジル、ドイツに次ぐ世界第4位の消費国となった。

 だが関口さんは、多くの日本人がコーヒーを飲んでいても、口にしているのは質の悪いコーヒーだと話す。本当に良い喫茶店は全国に5店ほどしかないという。当然、ランブルはその中の一軒だ。