【11月6日 AFP】インドで、14歳の娘をレイプしたとされる隣人の男を拷問の末に殺害した父親が警察に自首した。娘の母親によるとこの父親は、レイプ犯はその報いから逃れることはできないというメッセージを伝えたいと願っていたという。

 6人の子を持つこの父親(36)は先週、警察に出頭し、娘(14)をレイプしたことを認めた隣人の男(45)を絞殺したと自白したという。娘が妊娠したと知り行動を起こしたと話しているという。

 供述書によると、娘が父親に、隣人から性的暴行を受け、誰かに話したら殺すと脅されたと打ち明けたとされる。暴行があったことは医師の報告でも確認されている。隣人の男は一家が信用している借家人で、「家族の一員のように付き合っていた。信頼を裏切られショックを受けた」と父親は供述している。

 インドでは、レイプ事件が罰せられない例が頻繁にある。裁判が始まるまでに数年かかることもある一方、被害者が社会的な汚名を着せられることが少なくない。

 ニューデリー(New Delhi)の貧困地区にある一家の自宅では、被害者の少女が茫然(ぼうぜん)と母親(32)の脇に立ち尽くし、親類や近隣住民が慰めの言葉をかけようと列を作っていた。AFPの取材に応じた母親は、「わずかな時間だったが夫に会えた。夫は、レイプ犯になる可能性のある人たちに、正義からは決して逃れることはできないと警告したかったと話していた」と涙をぬぐいながら語った。

 その場にいた人々の大半は、父親の行動を全面的に支持していた。1人が「レイプ犯にふさわしい報いだ」と主張すると、他の人々もうなずいた。

 2012年にデリー(Delhi)を走行中のバス車内で女子学生(23)が集団レイプされ死亡した事件をきっかけに、インドでは性犯罪が注目されるようになってきている。この事件では5人が逮捕され、うち4人には昨年、死刑が言い渡されたが、刑が執行された者はまだ1人もいない。残る1人は勾留中に死亡した。自殺したとみられる。

 今回、自首した父親は、デリーの事件が頭にあったと妻に語ったという。「夫は、(2012年12月の)事件で有罪となった被告たちはまだ死刑になっていないと話していた。私たちの娘が正義を得ることはないかもしれないと感じて、自分で手を下そうと決めたのではないか」

 警察によると父親は、隣人の男を問いただしたが相手がほとんど反省した様子を見せなかったため、激怒。相手に飛びかかり、猿ぐつわをして首を絞めた後、ストーブで熱した鉄製のへらを隣人の性器に押し当てたという。(c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA