■市場高騰、増える偽物

 しかし、中国人バイヤーたちが押し寄せたことで隕石の価格は高騰した。古株のコレクターの間では、偽造品が出回る懸念が高まっている。

「彼らは、隕石の価値にしか興味がない。その隕石に秘められた科学を理解していない」。米アリゾナ(Arizona)州の砂漠の町トゥーソン(Tucson)で開かれた世界最大の隕石見本市で、中国人の公務員ブライアン・リー(Bryan Lee)氏は隕石の標本をためつすがめつ、ぼやいた。「だから偽物が多くなった」

 海外の評論家もリー氏と同じ心配を口にした。

「中国のバイヤーは大きな隕石が好きだ。高額(隕石)市場での中国人バイヤーの存在感は際立っている」と、米専門誌「隕石タイムズ(Meteorite Times)」のコラムニスト、エリック・トゥエルカー(Eric Twelker)氏は指摘する。「だが、中国から出品される隕石の大半は誤認か、偽物だ。ここ数年続いている問題で、私は中国産の隕石全てに不信感を抱いている」

 童氏は自ら、タクラマカン(Taklamakan)砂漠にせっせと足を運んでは「天からの贈り物」を探している。過酷な自然が襲いかかって来るが、それすら「楽しんでいる」という。「やりたいことをやっている。宇宙の謎は尽きない。だから、私たちは隕石に興味を持つんだ」と童氏は語った。(c)AFP/Tom HANCOCK