【11月2日 AFP】英ヴァージン・グループ(Virgin)傘下の宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)の商用宇宙船「スペースシップ2(SpaceShipTwo)」が先月31日の試験飛行中に墜落したことを受けて、同グループのリチャード・ブランソン(Richard Branson)会長は1日、事故があった米カリフォルニア(California)州に入った。

 ブランソン会長はヴァージン・ギャラクティックの宇宙計画の中心的な施設となっているモハベ宇宙港(Mojave Air and Space Port)で記者会見し、商業宇宙旅行の夢が終わったわけではないが、安全が最優先課題であることに変わりはなく、当面は事故原因の調査に全力を注ぐと述べた。

 今回はスペースシップ2にとって35回目の試験飛行だった。事故ではパイロット1人が死亡し、もう1人が重傷を負った。米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)によると、死亡したのはマイケル・アルスベリー(Michael Alsbury)氏(39)。同氏は2児の父だった。

 米運輸安全委員会(National Transportation Safety BoardNTSB)による事故原因の調査が進められる中、事故が起きた試験飛行で使用された新しい種類の燃料に注目が集まっている。プラスチックをベースにしたもので、地上でテストされたことはあったが、飛行で使われたのは初めてだったという。

 専門家たちは今回の事故で商業宇宙観光が数年遅れるのではないかと指摘している。ヴァージン・ギャラクティックは2015年に乗客6人が乗れる宇宙船で大気圏外に観光客を送る事業を始めたいとしていた。

 料金は1人当たり25万ドル(約2800万円)と高額だが、すでに米俳優のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)さんなどの著名人を含む約500人が予約していたと伝えられている。ブランソン会長は予約のキャンセルを希望する人には返金すると述べた。(c)AFP/Josh Edelson