【10月31日 AFP】サイバー攻撃は既に甚大な損害を及ぼしているかもしれないが、今後10年間で状況はさらに悪化する可能性が高いことが、専門家への調査で分かった。

 米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の報告書によれば、調査に回答したサイバーセキュリティー専門家の過半数が、今後サイバー攻撃によって大規模な損害が生じる可能性が高いと考えていた。

 調査では「2025年までに、大規模なサイバー攻撃により、国家の安全保障や国民保護能力に広範な損害が生じると思うか」との問いに、専門家1600人の61%が「イエス」と答えた。この質問における「広範な損害」とは、命や財産の著しい損失や損害、数百億ドル規模の窃盗被害を意味する。

「専門家たちの間では、個人がより危険に対してぜい弱になり、企業が持続的に攻撃にさらされる可能性があるとの見解が、かなり幅広く合意されていた」と、報告書を共同執筆したピュー・リサーチ・センターのインターネットプロジェクト責任者、リー・レーニー(Lee Rainie)氏は述べている。「主要インフラが攻撃に弱い標的である点と、窃盗被害や経済の混乱が相当な規模になる可能性がある点を、専門家らは指摘している」

■「冷戦」戦略で阻止可能?

 一方、調査に応じた専門家のうち残る39%は、サイバー攻撃は阻止可能だと回答した。

「反撃の構えを見せれば最悪の事態は防ぐことができると断言する専門家らもいた」と、調査を共同で実施した米イーロン大学(Elon University)イメージング・ジ・インターネット・センター(Imagining the Internet Center)のジャナ・アンダーソン(Janna Anderson)氏は述べた。

「多くの専門家は冷戦を引き合いに出し、(核戦略に関する戦略である「相互確証破壊」ならぬ)『相互確証混乱』の脅威があるため深刻な被害が起きる可能性は低いと指摘した。サイバー攻撃の脅威は、恐怖をあおることで最大の利益を得られる人々によって誇張されていると唱える者もいた」(アンダーソン氏)