自然エネルギーへの転換に苦悩するドイツ
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【10月31日 AFP】ドイツが世界に先駆けて再生可能エネルギーへのシフトを図っているとすれば、人口わずか150人の村、フェルトハイム(Feldheim)がその先頭を走っている。
首都ベルリン(Berlin)から南西80キロにある同村は、ドイツで初めて大手電力会社の電力網から独立し、100%代替エネルギーで生活している。同国が目指す化石燃料による発電から再生可能エネルギーへの移行を最初に達成した村だ。
村の電力は今、風力発電によって各世帯に届けられている。さらに99%以上の風力電力は国の電力網にも売られている。ソ連の軍事基地だった場所に設置された太陽光パネルから発電される電力も同様だ。
フェルトハイムの冬の暖房は、バイオガス発電でまかなわれる。使われるのは地元の家畜のふんやとうもろこし。冷え込んでくると、林業廃棄物を燃やす木材チップ発電も稼働される。
村民たちは銀行ローンと政府からの助成金、そしてグリーン発電企業「エナジークエル(Energiequelle)」の協力でこうした発電・電力網システムを整備した。かなりの投資にはなったものの、電気代が大幅に安くなったために相殺されているという。
地元のエネルギー組合のWerner Frohwitter氏によれば、フェルトハイムは以前、暖房のために年間16万リットルの石油を買っていた。「もはやこの金をアラブの王様やプーチンに払わなくてもよくなった」と、同氏は言う。
■明るい未来か、経済の危機か
ドイツのエネルギーシフト政策は、聞く人によっては、二酸化炭素排出ゼロを目指す環境に優しい明るい未来か、欧州最大の経済を危機にさらす無謀な賭けだと意見が分かれるところだ。
同国は2022年までに原発をすべて停止し、2050年までに総電力需要の80%を再生可能エネルギーでまかなうという目標を掲げている。現在、再生エネルギーが占める割合は約25%だ。