【10月27日 AFP】ナイジェリア北部を中心に活動するイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」が、拉致した女性や少女たちを最前線に動員して戦闘員として利用していると、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)が27日、警告を発した。

 ボコ・ハラムをめぐってはナイジェリア政府が今月、停戦と4月に拉致されたままの女子生徒219人の解放で合意したと発表したが、北東部ボルノ(Borno)州では週末、新たに30人がイスラム武装組織とみられる集団に拉致される事件が起きた。1週間前にも隣接するアダマワ(Adamawa)州で40人が拉致されており、停戦合意が疑問視されている。

 HRWでは、ボコ・ハラムの拘束を脱出した元人質の女性と少女30人に2013年4月~今年4月に聞き取りを行い、身体的・心理的虐待に関する証言をまとめた。このうち12人は、4月にボルノ州チボク(Chibok)の女子学校から拉致された約220人の女子生徒のうち脱出した57人の一部だという。

 ある19歳の女性は昨年3か月にわたり、ボコ・ハラムの宿営地に拘束され、襲撃への同行を強要されたと証言した。

「戦闘の間、弾薬を持って草の影に伏しているよう言われた」

「治安部隊が攻撃してきたときは恐怖で立てなくなり、ボコ・ハラムの戦闘員に引きずられるようにして宿営地へ戻った」

 この女性は、別の襲撃の際にボコ・ハラムが捉えた自警団メンバーの一般市民5人をナイフで処刑するよう命じられたとも語った。恐ろしくて震えていると、代わりに宿営地のリーダーの妻が殺したという。

 ナイジェリアでは今年、女性による自爆攻撃が頻発しており、ボコ・ハラムが拉致した女性や少女たちにやらせているのではないかとの憶測が流れている。しかし、自爆犯が拉致されて強制的に攻撃に参加させられた女性たちなのか、それとも志願した女性なのかを明らかにする証拠はこれまでのところ見つかっていない。

 7月には北西部カツィナ(Katsina)州で、10歳の少女が爆発物を巻き付けられた状態で保護されている。