【10月27日 AFP】麻疹(はしか)、おたふくかぜ、風疹(ふうしん)を予防する新三種混合(MMR)ワクチンの接種後に熱性けいれん(短時間のひきつけ)を起こす子どもが少数存在する理由を説明する遺伝子的な手掛かりを発見したとの研究論文が、26日の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)で発表された。

 デンマーク・国立血清学研究所(Statens Serum Institut)のビャルケ・フィーンストラ(Bjarke Feenstra)氏率いる研究チームは、MMRワクチンの接種を受けた子ども約1000人に1人の割合で熱性けいれんが発生することを発見した。

 研究チームによると、MMRワクチン接種後2週目に熱性けいれんリスクの上昇を示す2個の遺伝子変異の存在が、今回の研究で明らかになったという。これら2個の変異は、ウイルス侵入時の免疫系の反応で重要な役割を担う遺伝子に存在する。

 研究ではさらに、一般的な熱性けいれんに関連し、MMRワクチンとは関係のない変異も4個見つかった。これらの変異は、神経細胞間の重要な情報伝達経路である「イオンチャネル」の制御に関与する遺伝子に存在しており、4個すべてを持っている子どもは、変異数が最も少ない同条件の子どもに比べて、熱性けいれんを起こす確率はほぼ4倍高かった。

 6個の変異によって説明されるのは、発作の遺伝子的原因のごく一部以上のものである可能性は低いと研究チームは指摘。また、MMRワクチンを廃止する必要はないとも主張しており、同ワクチンの使用は人命を救うことに「大きな成果をあげている」と評している。

 今後のさらなる研究により、他の遺伝的原因の解明も少しずつ進むと思われ、予防接種後の熱性けいれんリスクが高い子どもを特定することを目的とした、診断的検査の開発にも期待が寄せられている。

 フィーンストラ氏は、今回の研究結果を通じて熱性けいれんの研究は新たな道が開かれるはずとしており、すでに有効で安全なMMRワクチンもその効果を高める可能性があるとAFPの電子メール取材で語った。

「MMRワクチンは公衆衛生における成功例の一つで、年間100万人以上の子どもの命を救っていると推定される。今回のような研究で得られる知識は最終的に、ワクチンのさらなる安全性向上につながる可能性がある」

(c)AFP/Richard INGHAM