【10月24日 AFP】(一部訂正)米財務省のデービッド・コーエン(David Cohen)次官(テロ・金融犯罪担当)は23日、イスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が闇取引での石油売却や人質の身代金要求などを通じ月に数十億円の収入を得ており、世界で最も資金力のあるテロ組織の一つになったとの見方を示した。

 コーエン次官によると、イスラム国は今年イラクとシリアにまたがる地域を制圧した際に占拠した油田から採れる原油を売却し、1日当たり100万ドル(約1億800万円)を稼ぎあげるなど、「前例のない速さ」で富を蓄積している。

 国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)と異なり、イスラム国の資金源の大半は、湾岸諸国などにいる裕福な資金供与者やテロ支援国家ではない。だがコーエン次官は、イスラム国は「国家が支援するテロ組織を除けば、われわれが対峙(たいじ)してきた中で最も資金力のあるテロ組織だろう」と語った。

 イスラム国は、制圧した精製所からだけでも1日5万バレルの石油を生産しており、その石油は「大幅な割引価格でトルコの業者を含むさまざまな仲介人に売却され、その仲介人がさらに石油を輸送し転売している」と同次官。イスラム国は「活動地域内外の商人たちを長年つないできた根深い闇市場」に入り込んでおり、石油がイラク国内のクルド人に売却され、さらにトルコに転売されている例もあるという。

 またイスラム国と、米国が支援する穏健派の反体制派との二面戦争を戦うシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権さえ、イスラム国に奪われた油田や製油所の石油をイスラム国から購入する手配をしているという。

 イスラム国はまたジャーナリストや欧州人の誘拐によって、今年約2000万ドル(約21億円)の収入を得ている他、周辺地域の都市の商人などを恐喝し資金提供を要求もしている。

 コーエン次官はまた、密売されている石油を購入している側や、仲介人、輸送会社など、イスラム国の石油を扱っている関係者も特定し、米国のみならず世界中の金融機関から締め出すなど取引を阻止していくと語った。

 こうしたテロ資金の阻止に非常に重要なのは中東諸国だが、コーエン次官が最近訪れイスラム帝国対策で協議したサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)では進展がみられるものの、過去に「テロ資金の流れを許容している」とみられていたカタールやクウェートではさらに課題が残っているという。(c)AFP/Jo Biddle