【10月17日 AFP】建設ブームの続く中国で、習近平(Xi Jinping)国家主席が「奇妙な建築物」をこれ以上建設しないよう呼び掛けたと報じられたことを受け、インターネットで賛否両論の議論が起きている。

 中国の従来の建築物はコンクリートブロックを使用した旧ソ連風の様式だが、近年、不動産開発が経済において大きな役割を占めるようになり、著名建築家のザハ・ハディド(Zaha Hadid)氏から、欧米ではまだ高層建築の設計に携わるキャリアのない若手建築家らまで、世界中の建築家が設計を手掛けるようになった。

 だが、国営機関の建築物として、高額な建設費をかけた型破りなビルが建設されるようになり、公費の無駄遣いだとしてしばしば批判や議論が起きてきた。

 オランダの有名建築家レム・コールハース(Rem Koolhaas)氏の事務所が設計した中国中央テレビ(China Central TelevisionCCTV)の斬新な本社ビルは、人々に「巨大なパンツ」と呼ばれている。また、重慶(Chongqing)を流れる長江(揚子江、Yangtze River)と嘉陵江(Jialing River)に架かる2基の橋は、女性器を連想させると苦情が寄せられた。

 中国共産党機関紙の人民日報(People's Daily)本社の新社屋は昨年、男性器にそっくりだととしてインターネットで話題を集め、当局が議論を検閲、遮断するほどの騒動になった。

 その人民日報のウェブサイトによると、習主席は15日、複数のアーティストらに対し、中国には「奇妙な建築物はもういらない」と語ったという。

■ネットでは習主席支持の声多く

 インターネット利用者の多くは、習主席の呼び掛けを歓迎した。

「『奇妙な建築物はいらない』発言は建築家に対してよりも不動産所有者を標的にしたものだと思う。恥知らずな所有者は今すぐ規制されるべきだ」と、マイクロブログの新浪微博(Sina Weibo)のあるユーザーは述べた。

「中国は外国人の試験場じゃない」と別のユーザーはつぶやいた。

 一方、一部の新浪微博ユーザーは、習主席の発言により発想の自由に影響が及ぶ恐れがあると懸念した。「『奇妙な建築物』は、所有者と設計者が自発的に決めたものだ」とあるユーザーは述べ、別のユーザーは「あなたは大勢の人たちの美的感覚を自分の美的感覚で置き換えたいと思うのか?」と問いかけた。(c)AFP