【10月17日 AFP】ギリシャ北部マケドニア(Macedonia)地方のアンフィポリス(Amphipolis)にある同国最大の古代墓地遺跡で発掘された巨大モザイク画に、主神ゼウス(Zeus)の娘で、冥界の女王となったペルセポネ(Persephone)が誘拐される神話の場面が描かれていることが明らかになった。同国文化省が16日、発表した。

 縦4.5メートル、横3メートルのモザイク画が作られた時代は、紀元前4世紀までさかのぼる。

 白、黒、青、赤、黄、灰色の小さなピースが数多く使われているこのモザイク画には、あごひげを生やした男が駆る古代の二輪戦車と、歩きながらその男を振り返って見ているギリシャ神ヘルメス(Hermes)が描かれていることが、これまでの発掘で判明していた。

 そして、新たに進められた発掘作業で、モザイク画の残りの部分には、二輪戦車に乗せられ、悲しみに沈んだ表情で片手を差し伸べる女性の姿が描かれていることが明らかになった。

 ギリシャ文化省は声明を発表し、「純白のドレスを身にまとい、左手首に宝石の飾りを着けた、豊かな赤い髪の若い女性が描かれている。これは明らかに、ギリシャ神話の冥界王プルート(Pluto)による、ペルセポネの誘拐のシーンだ」と述べている。

 ギリシャ神話では、冥界王プルートはペルセポネを妻とするために誘拐したとされる。

 モザイク画が発掘されたこの巨大墓地遺跡は8月に発見された。ここに埋葬された人物については、アレクサンダー大王のバクトリア人の妻ロクサーヌ(Roxane)や大王の母オリンピアス(Olympias)、あるいは側近の一人など、さまざまな推測がなされてるが、発掘作業に携わる主任考古学者のカテリーナ・ペリステリ(Katerina Peristeri)氏は「これが王家の墓かどうかについて語るのは時期尚早だ」としている。

 この墓地遺跡には埋葬室が3つあり、これまでにその2つでの発掘作業が行われている。考古学者らは3つ目の埋葬室の発掘作業を18日に開始する予定。(c)AFP