【10月16日 AFP】米グーグル(Google)の眼鏡型インターネット端末「グーグル・グラス(Google Glass)」を1日に最長18時間着用していた31歳の米国人男性が、依存症の治療を受けていたことが分かった。男性は夢までもグーグル・グラス越しに見るようになったといい、同端末でネット依存症になった初の事例とみられている。

 医学誌「アディクティブ・ビヘイビャーズ(Addictive Behaviors)」で発表された事例研究報告によると、海軍兵士のこの男性は、過去に飲酒、抑うつ、対人関係で問題を持っており、飲酒癖が再開したため2013年9月に米カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)の米海軍物質乱用回復プログラム(Substance Abuse Recovery ProgrammeSARP)に入所していた。

 報告によると、男性は入所前の2か月間、1日最長18時間グーグル・グラスを着用し、睡眠と入浴の際には外していた。入所後には「起きて端末を着用している時と同じ小さな灰色のウインドウを通した夢を見ていた」という。

 軍務では、車列の車を確認したり記録したりするスピードが速くなるため、同装置の着用が許可されていた。だがグーグル・グラスへの依存度が高まり、端末なしだと「自信が無くなり、薬物乱用患者のように、同装置への顕著な欲求を示すようになった」という。

 入所時の検査で男性は、まるでグーグル・グラスのスイッチを入れインターネットにアクセスしていたのと同じような無意識の動きで、繰り返し右手を上げてこめかみに触れていた。また面接では、短期記憶能力が低く、思考の流れをしばしば失い、めったにアイコンタクトをしなかった。35日間の治療後は、いら立つ頻度が減少し、思考過程や短期記憶に改善が見られたが、グーグル・グラス越しの夢は依然として断続的に経験していた。

 医師らは、グーグル・グラスを直接批判することはせず、「インターネット依存症(IAD)」と呼ばれる症状に問題があると指摘している。この症状は根底に心理的原因がある場合が多く、飲酒や薬物乱用といった他の常習行為と組み合わさることもある。SARPのアンドリュー・ドーン(Andrew Doan)氏は、「私の知る限り、これはグーグル・グラスの問題ある使用によるインターネット依存症の最初の報告例だ」と述べている。(c)AFP