【10月13日 AFP】ウクライナのペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領は12日、バレリー・ヘレテイ(Valeriy Geletey)国防相を解任した。ロシアとの首脳会談を今週に控えての予想外の決定だ。

 ヘレテイ氏は、今年3人目の国防相として7月に任命されたばかり。ポロシェンコ大統領の公式ウエブサイトには、ヘレテイ国防相の「辞表を受理」し、13日に新国防相を任命すると書かれている。

 ヘレテイ国防相の解任は、親ロシア派の反政府勢力との6か月にわたる戦闘が長期化する中、かつてその能力を誇っていたウクライナ軍を取り巻くようになった敗北感を浮き彫りにした。またポロシェンコ大統領にとっては、17日に予定されているアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相の立ち会いの下でのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領との会談に先立ち、自身の立場を弱める決定となった。

 一方のプーチン大統領は、自身の立場を強化する動きに打って出たもようだ。11日、ウクライナ国境近くに展開していたロシア軍1万7600人に対し、撤退と基地への帰還を命じた。アナリストたちはこの決定について、西側諸国による厳しい制裁措置の停止あるいは縮小を希望するプーチン大統領の思惑と関連したものとみている。

■東部での政府軍の失態

 ポロシェンコ大統領は、反政府勢力に対する徹底した攻撃を組織する上でのヘレテイ国防相の能力について不満を持っていたとする臆測がある。週刊紙ゼルカロ・ティージニャ(Dzerkalo Tyzhnia)は、8月23日にロシア特殊部隊数百人と装甲車数十台がウクライナ東部の紛争地帯に侵入したとの情報を受け取った際に、ヘレテイ国防相の命運は決まったと報じている。

 同紙は軍司令官の話として、ヘレテイ国防相がこの情報を無視し、翌日に首都キエフ(Kiev)中心部で行われた独立記念パレードに出席したと伝えている。親露派はこの後、大規模な反撃を開始し、先の数週間で失っていた広範な領土を瞬く間に奪還した。(c)AFP/Dmitry ZAKS