【10月12日 AFP】中国の裁判所は11日、マクドナルド(McDonalds)の店内で客の女性に暴行を加え、死亡させた新興宗教「全能神(Quannengshen)」の信者2人に死刑判決を言い渡した。信者らは、女性が入信の勧誘を拒否したことを理由に暴力を振るったとされている。

 中国東部・山東(Shandong)省煙台(Yantai)市の中級人民法院(地裁)がインターネット上に同日公開した文書によると、殺人罪と「邪悪なカルト組織を通じて法律の根底を覆した」ことで死刑判決を受けたのは、政府が違法な「邪教集団」に指定している「全能神」の信者、張帆(Zhang Fan)被告と張立冬(Zhang Lidong)被告。両被告が控訴するのかは明らかになっていない。

 このほか、暴行に加担した信者の呂迎春(Lu Yingchun)被告には終身刑、張航(Zhang Hang)被告と張巧聯(Zhang Qiaolian)被告にはそれぞれ懲役10年と7年が言い渡された。

 中級人民法院によれば、5人の被告は今年5月、「呉(Wu)」という名字の女性を勧誘しようと電話番号を尋ねたところ、断られたため暴行したという。

 1990年代半ばに「邪教集団」に指定された新興宗教の「全能神」は中国人女性の教主を「キリストの生まれ変わり」としているほか、中国共産党を「巨大な赤い龍」と呼んでいる。

■犯行動画がネットに

 5月に起きた事件の直後には、棒を持った張立冬被告に似た男が怒りをあらわにし、「この野郎、悪魔め!地獄に落ちろ!」などと怒鳴りながら女性に殴りかかるところなど、暴行の様子を撮影した動画がインターネット上に流出した。動画にはこのほか、「殺せ!殴り殺せ!」と叫ぶ女の声も録音されていた。

 およそ3分間の動画は携帯電話で撮影されたとみられ、被害者らしき女性はほんの一瞬しか写っていない。一方、店内にいたほかの客らが悲鳴を上げながら外へ逃げていく姿は捉えられており、客の1人は繰り返し「見るな、外へ出ろ!」と叫んでいた。

 人民法院によると、呉さんは張立冬被告にモップで頭をたたかれ、別の被告らには床に倒されて蹴られたり踏みつけられたりしていた。(c)AFP