■「世界で最も自由な経済」を「活用」

 1997年に英国から中国に返還された香港は、「一国二制度」の下で中国本土とは異なる政治体制と法制度を持ち、人々は本土の中国人が経験したことのない自由と権利を享受している。経済活動に開放的なことで知られ、米ヘリテージ財団(Heritage Foundation)と米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)が毎年発表する「経済自由度指数(Index of Economic Freedom)」では、20年連続で「世界で最も自由な経済体」に選ばれている。ちなみに中国本土の今年の順位は、137位だった。

 アナリストらは、香港の「透明で公平な」法制度こそが、中国と世界の金融界をつなぐ「架け橋」の要石(かなめいし)だと評価する。

 また、香港は中国本土の投資家の主要な投資先でもある。中国商務部(省)によれば、2012年末までに行われた中国の対外投資の実に6割近くが香港への投資か、香港を経由した投資だった。

 中国当局は資本市場を少しずつ開放し、人民元の国際通貨化を推進している。同時に、主要な経済活動に対する統制は維持しようとしており、外国企業は上海FTZの改革の進展の遅さに失望している。

「中国は間違いなく、上海を発展させたいと考えている」とオーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の上級エコノミスト、レイモンド・ヤン(Raymond Yeung)氏は語る。「だが、だからといって中国が既に香港を見捨てたとはいえない」

「『おまえは言うことを聞かないから、もう知らない』という考え方は単純に過ぎる。現在の中国指導部は非常に現実的だ。『結果をもたらしさえすれば、おまえを活用してやる』と言うだろう」(ヤン氏)

■香港と本土、縮まる差

 短期的には、香港が本土のライバル都市に追い落とされる心配はないだろうが、香港が中国に完全返還される2047年が近づけば、力学が変化する可能性はある。そのころには香港は、英語の浸透などの「固有の利点」を一部維持しつつも、独立した法制度など他の特徴は失っている可能性があるとエバンスプリッチャード氏は分析する。

「長期的なシナリオは予見できる。2047年に中国に戻った後、香港の特別な地位は基本的に失われるだろう」「上海がより重要性を増し、少なくとも国内の金融センターとして香港を追い越すのではないか」

 一方、ANZのヤン氏は、香港が上海に追い越されることはないとみる。それでも「間違いなく、収束は起きるだろう。中国も、上海も(香港に)追いついてきている」として、次のように断言した。「上海と香港の差は、縮小する。それは間違いない」 (c)AFP/Felicia Sonmez, with Laura Mannering in Hong Kong