【10月9日 AFP】ノラさんは医師を夢見る優秀な高校生だった──だが、ジハード(聖戦)に加わるためにシリアへと旅立った後、家族はノラさんが二重生活を送っていたことを初めて知った。

 ノラさんは、過激派とともに戦うことを目的に、最近シリアとイラクへと旅立ったフランス人やフランス居住者1000人のうちの1人だ──彼らは恵まれず、行き場を失った若者たちというのが一般的な見方だが、専門家らによれば、それぞれが異なった背景を持っているという。

 仏南部アビニョン(Avignon)に暮らすノラさんは今年1月、わずか15歳にしてシリアに突然飛び立った。兄のフアドさんは突然居なくなった妹を必死に捜し回った。

 ノラさんはSNSフェイスブック(Facebook)のアカウントを2つ持ち、その1つではごく普通の若者の日々を語り、もう一方のアカウントでは「アレッポ(Aleppo)に行きシリアの同胞たちを助けたい」という切実な思いをつづっていた。フアドさんは、ここでノラさんの二重生活について初めて知ることになった。

 仕事を辞めてノラさんの捜索に全力を注いだフアドさんは、妹がシリアに居ることを突き止めた。4月に会いに行ったが、ノラさんと会えたのは30分間のみ。それもセネガル系フランス人の「オマル・オムセン首長」の立ち会いの下だった。

「彼女の健康状態は良くないようだった。やせて、顔はむくんで黄色みがかっていた」とフアドさんはAFPに語った。

 ノラさんは事前の電話で家に帰りたいと語っていたが、ノラさんの指導係はノラさんの帰国を許さなかった。「私はシリア人を恐怖に陥れる偽善者たちと臆病者たちに囲まれている」──ノラさんは電話でそう話していた。

 数日後、ノラさんから電話があった。彼女は泣きながら、家族に捨てられたと言い放った──その日以来、その言葉はフアドさんを苦しめているという。

 フアドさんの弁護士、ガイ・ゲノン(Guy Guenoun)氏は、ノラさんが現在は「人質」にされていると語る。ノラさんら少女たちは「戦士たちに約束した処女」として使われる恐れがあるという。